食べてみんしゃい!
明太子・もつ鍋・九州料理

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2021.10.08

明太子の栄養と塩分を正しく知って、おいしく健康的に食べるには

おにぎりやパスタの具材として人気の明太子。一方で、明太子の塩分やプリン体、カロリーなどが気になる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、管理栄養士 横山先生監修のもと、おいしく健康的に食べられる明太子の量や食べ方を考えてみたいと思います。

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明太子の塩分が気になるイメージがあるかもしれませんが、文部科学省発表の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から試算すると、からしめんたいこ1本(40gとした場合)の食塩相当量は2.24g。種を取り除いた梅干し1個(10g)の食塩相当量が2.21gですから、からしめんたいこ1本(40gとした場合)とそれほど変わりません。(※1)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、成人の1日当たりの食塩摂取量の目標量は男性が7.5g未満、女性は6.5g未満。1食あたりで考えると2.1~2.5gですから、からしめんたいこの1本(40gとした場合)は基準値以内の摂取量です。からしめんたいこを5g(食塩相当量0.28g)、10g(食塩相当量0.56g)、15g(食塩相当量0.84g)使用するとこれくらいの量です。
最近では塩分にマイナスのイメージを持つ人も少なくありませんが、その一方で「おいしさ」を引き立てる陰の立役者として見直されてもいます。例えば小豆あんやココアなどの甘みも、隠し味に塩を加えることでおいしさアップ。旨みたっぷり、ほどよい塩加減の明太子は、料理のアクセントにもぴったりな食材なのです。

塩分のほかに、明太子の「プリン体」が気になる人もいるのではないでしょうか。

プリン体は「痛風」の原因としても知られていますが、それ自体が悪さをするわけではありません。通常、プリン体は肝臓で「尿酸」に分解され、体外へと排出されます。この尿酸の量が体内で過剰に増えると、結晶化し関節や組織に蓄積され、痛風を引き起こしてしまうのです。


この尿酸を作り出すのがプリン体ですが、実は食品から摂取されるのは全体の2割程度。残りの約8割は、体内の新陳代謝で生成されます。また高尿酸の人の9割は、尿酸の排せつに原因があり、その主な要因は「肥満」と「体質」。つまり、食事においてプリン体の摂取量を必要以上に気にすることは、実際の臨床ではそれほど意味がありません。


一般的には1日のプリン体摂取量が、400mgを超えない食事が望ましいとされ、食品は100gあたり200mg以上のプリン体を含むと高含量とされます。その点、からしめんたいこに含まれるプリン体は、100gあたり約160mg。1本(40gとした場合)に換算しても約64mgですから、実はそれほど多くありません。そうしたことから、過剰摂取さえしなければ、あまり気にする必要はないでしょう。

「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、からしめんたいこのエネルギーは100gあたり126 kcal。これは、イクラ(272kcal)やキャビア(263 kcal)、からすみ(423 kcal)など、魚卵を使う他の加工食品と比べると低いことが分かります。
また、からしめんたいこ100gあたりのたんぱく質は21.0g、炭水化物は3g。低糖質で高たんぱく質の明太子は、夜食のおにぎりの具にもぴったりの食材といえるでしょう。
■横山先生からのアドバイス
明太子は塩分およびコレステロール、プリン体、ミネラル、ビタミン、不飽和脂肪酸といった栄養分がバランスよく含まれている高栄養価食品です。

最近は、塩分やコレステロール、プリン体などが目の敵にされがちですが、実はコレステロールやプリン体が作る尿酸については、食品から摂取しているのは2割程度です。


そのため過剰に摂取しなければ、むしろ栄養素による摂取メリットの方が大きい場合もあります。特に、食事摂取量の少なくなった要介護の高齢者には、塩分も含め栄養価の高い食事として、これらの特性を逆手にとって家族に推奨するケースもあります。

妊娠初期にはビタミンAを多く含む食べ物は避けたほうがいいとされていますが、からしめんたいこ1本を40gとした場合、ビタミンAは71.6㎍くらい。妊婦さんが食べるうえでは、塩分摂取量に気をつけて適量であれば、特に注意する必要はないといえるでしょう。

(ビタミンAは1日3000㎍以上を連日摂取してしまう場合に於いて胎児への影響が報告されています。)

また、妊娠中に心配されるリステリア菌のリスクは、ナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなど、加熱しないでそのまま食べる調理済み食品(ready-to-eat食品)の全てに少なからずあります。それを厳密に守ろうとすると、妊娠中は何もできなくなり、過剰な食対応は心理的なストレスを引き起こしかねません。

「からしめんたいこは妊婦だから食べてはいけない」ということはありませんので、節度ある量に気をつけて食べてくださいね。

日本人の食塩摂取目標量(1食あたり2.1~2.5g)を目安に、健康的に楽しめる明太子の量を考えてみましょう。

からしめんたいこ1本(40gとした場合)の食塩相当量は約2.24g。目標量から考えると、1食に使用する量は1本以内となりますが、他の食材との食べ合わせも考えて調整するようにしましょう。
おにぎりの具材に使う場合は一切れ10gくらいにして使い、パスタでも1人分に使う量を1本以内(1本を40gとした場合)にするとよさそうです。ただし、持病のある方は医師の指示に従った摂取量にしてくださいね。
■横山先生からのアドバイス

食事摂取量の少ない高齢者において、脱水予防やフレイル予防の観点から、からしめんたいこは塩分も含めて、栄養価の高い食品として摂取が有効な場合もあります。

そのため、もちろん過剰な摂取はよくありませんが、適量であればむしろ積極的に摂取したい食品の一つと考えられます。からしめんたいこは調味料としても大変優秀なので、日々の食事にうまく取り入れられるといいですね。

明太子の塩分量やエネルギー量について正しい知識があると適切な摂取量が分かり、より安心して味わうことができます。上手に活用して、明太子を心置きなく楽しみましょう!

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林医院 管理栄養士
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
横山 陽子先生

兵庫県西宮市にある糖尿病専門クリニック「林医院」で栄養指導を行う。

林医院
兵庫県西宮市甲子園口3丁目9-23
https://www.hayashi-med.com/
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